どのくらい上がったかわからないが、急に光が差して来た。

 歯無が真上を見ると、間違いなく、外に通じるであろう、出口が見えたのだ。

 段々と出口に近づくと、体の疲れも忘れ、無我夢中ではしごを歯無は上った。

 必死だったので、どうやって出たのかさえ覚えていない。

 助かった。

 それに昼間だ。

 と、歯無は長い円筒を上りきって、思った。

 だが、すぐに現実に戻ると、喜ぶどころか不安にさいなむ。

 歯無の左右はビルに囲まれ、後ろは行き止まりで前は道路が見える。車が走っているようだ。