ドンドンドン!

 歯無は玄関を叩く音で目が覚めた。

 時計を見ると、夜中の二時だった。

「わあっ……」

 戸度橋もうるさい音で目が覚まし飛び起き、部屋の角に逃げている。会社であんなに強気なのに、おびえるほど怖いのだろう。

「うるさいな、こんな夜中に誰だ!」

 歯無は不機嫌だった。夜中にたたき起こされたからだ。

「助けて……」

 戸度橋の体は小刻みに震えている。

「うるさいぞ!」

 歯無は玄関に向かって言った。

 ガチャガチャ……