新聞は購読していない。

 テレビ欄しか見ないので、無駄な出費をしないためだ。

それにアナログ放送からデジタル放送にしてからはテレビ画面に番組表示が出るので、ますます、新聞の役割はなくなりそうだ。

 世間では夕刊を購読しなくなる傾向にあるので、将来的に新聞社はなくなるのでは、と懸念されているが、歯無左斗史(はむさとし)は興味がなかった。

 新聞社はもちろん社会にも興味がないのだ。現在の総理大臣の名前はもちろん、隣人の名前さえ知らなかった。

 今、住んでいるワンルームのマンションも隣人の引越し率が高いので顔さえ見たことがないのだ。仕切られている壁が薄いので、音漏れがすれば隣人がいると思う程度で興味はない。

 歯無は年齢が三十三歳だったので、結婚願望があった。出会いを求めて結婚相談所に行ったが、いい人を紹介してもらえなかった。