「わあっ!」

 歯無は奇怪さに身震いをし、後退りするしか出来なかった。

「せっかく、チャンスを与えたのに……」

 語野字は残念そうに肩を落とし、ため息まで吐いている。

「何も悪いことしてないのに、あそこに行くのは嫌だ!」

 語野字の顔が変形した。

 歯無は目を閉じたかった。

 目の前には真っ赤な顔のロボットがいた。

 もう、逃げ切れない。

 歯無は咄嗟に隣の部屋に江利牧たちがいることを思い出した。

 こうなれば道連れだ。