今の季節が夏でないことは確かだ。この場所は見覚えがある。

 そうだ、自宅だ。

 江利牧の彼女は隣人だ。

 歯無は急いで、自宅に向かった。

 全てに見覚えがある。そこまでは良かった。玄関のドアも懐かしい気がする。かなり、チテイジンの国にいたのだろう。

 表札の文字が別人になっていたので、部屋に入ることも出来ない。

 歯無の所持品は何もない。

 部屋もないと言うことは、会社も退社になっているのだろうか。それとも失踪と言うことで、籍はあるかもしれない。

 とにかく、誰かに助けを求めるしかない。