歯無が見上げている間に、江利牧はスイスイと先に行ってしまったので、慌てて追いかけるのだった。

 運動不足な歯無は追いつくどころか、距離は遠くなるばかりだ。

 もうすぐ出口だ。

 江利牧の手が差し出した。

 歯無はぎゅっと握りしめると、江利牧に引き上げられ、そこは外の世界だった。

 簡単にここまで来たのだ。

 歯無の体は汗ばんでいたので、外の風は冷たくて気持ちがいい。半袖、短パンで普通なら寒いだろう。

 と、言うことは、今は冬か?

「早く、行きましょう」

 江利牧は走り出した。