「それはないでしょ!」

 戸度橋も怒り口調ではあるが、歯無の一言で脱出の気がないことは承知である。

「無理なことはしない。外に出ても簡単に捕まる」

「でも、逃げましょう」

「その後はどうする?」

「まだ何も」

「それで捕まれば、レベル1に逆戻りだぞ。あんな臭い場所に戻りたくもない!」

「そうですか……では一人で逃げますよ」

 戸度橋はどことなく、うつむき加減で、がっかりしているようだ。

「ああ、しょうがない。だけど、捕まらないように頑張れよ」