歯無は戸度橋の目の前に割りこんだ。

「ダメだ。この部屋から出よう」

「歯無さん、どうしてですか?」

 戸度橋の形相は凄かった。目から刺すような視線は誰でもそらしたくなるほどだ。

 歯無は強引に戸度橋を連れ出した。

「失敗だ!」

 歯無は江利牧に期待していただけに、落胆を隠しきれない。

「そんなに肩を落とさないで下さいよ。きっと逃げ通せる方法があるはずですよ」

 戸度橋はなぜこんなに自信があるのか不思議だった。チテイジンのロボットに追われているときは間違いなくおびえていたからだ。

 別人か?