「知らない顔ね」

 女性が戸度橋に向かって言った。

「お前には用がねぇ。お前、逃げる方法知ってんのか?」

「はぁ?」

 部屋にいきなり入って来て、質問されても答えに困る江利牧だった。

「だから、ここから逃げて、赤い顔の変なやつに追われなくする方法を知っているんだろ!」

 戸度橋が威圧的であるが、理解は出来たものの、答えを言うのが遅れてしまった江利牧だ。