予想外の展開だった。江利牧は虎視眈々と脱出の計画を練っていると思ったので、女性二人と仲良く過ごしているのには面食らったのだ。

 思考が停止するタイプの歯無にとっては最悪だった。

 こうなるとネガティブなことが浮かぶ。

 まず、『レベル3』で生活をしたと仮定する。女性からは誰にも相手にされない。同性愛者には好意を持たれるが、興味のない歯無には苦痛だ。次なる行動は脱出しかないが、すぐに捕まり、チテイジンの食料となる。

 最悪だ。

「歯無さん!」

 歯無は聞き覚えのある声で、我に返った。