かすかに声が聞こえた。

 歯無はゆっくりとドアを開けた。

「あっ!」

 江利牧はいた。はつみの携帯で見た写真にそっくりである。首にほくろもあった。

 見つけたのはいいが、歯無は場違いな感じだった。江利牧の左右に女がベッタリと寄り添っていた。だから、言葉に詰ったのだ。

 整理しよう。

 男は江利牧だ。女は二十代前半と三十代後半で妊婦のようだ。

 三人の人間が歯無をじっと見ていて、何と話を切り出していいか思案するのだ。

「あっ、間違えました……」

 歯無はすぐにドアを閉めた。