「坂本くん、君の助けた男がロシア正教のキリスト教徒になったやそうやないか」
突然、龍馬に話し掛けた男、そうこの男こそ桂小五郎である。
「ちょっと待ってつかあさい、桂さん。わしはロシア正教なんぞ聞いた事ありゃあせん」
龍馬の知ってるキリスト教というと、ダビンチコードで有名なカトリックであった。
「実に君は小さい!僕はな、坂本くん、ロシアといったらな松陰先生ばりのドストエフスキーちゅう物書きがいる言うで」
小五郎はそうはいったものの実はロシアにはあまり興味なかった。
「ちょっと待ってつかあさい、桂さん。わしはやっぱりフリーダム!アメリカのキリスト教がいいぜよ」
龍馬は読書が苦手であり絵のある紙芝居的な物がよかった。
「坂本くん、君は松陰先生に会った事があったな。キリストいうのはだな、あの松陰先生すら想像できんビッグバーンな人らしいで」
小五郎は習いたての英語を少し実験で言ってみた。
「ちょっと待ってつかあさい、桂さん。わしも聞いた事あるき、長崎の隠れキリシタンぜよ」
龍馬はキリストの愛の教えを知っていた。
そうあれは彌太郎が加尾に猛烈アタックした時の事である。
「加尾!わしの嫁にきてくれー」
加尾はこんなうす汚い格好の男はイヤだったが、キリストの愛の教えの気持ちで彌太郎に接していた。そのため勘違いさせてしまったのだ。
「彌太郎さん、ごめんなさい」
その後は彌太郎の龍馬が好きなんかい攻撃に加尾は泣きくずれたそうな。
「わしはな、桂さん!乙女の純な気持ちを優しく包みたいんぜよ」
小五郎はかような話を恥ずかしげなく語る龍馬という男のデカさを感じた。