「それは、北の椅子(名)があいているから?」

「兄貴っ、こんな奴相手にする必要ないぜ!」

兄貴は大丈夫だと笑い、ルーク・フォームスに視線を戻した

「そうだな……半分は、だな。」

「なら、残りの半分は?」

ルーク・フォームスは少し黙り、窓の外へと視線を向けて、

「………ある奴の為だ。」

ポツリと呟いた

オレにはその背中が妙に寂しく見えた

「ある奴……ね。」

「ところで、」

くるりとオレ達に向き直ったルーク・フォームス

「お前達は兄弟らしいな?」

「ああ、オレの大切な弟だ。」

ぐいっと頭を引き寄せられ慌てて突き放す

「ガキ扱いすんな!」

「まだアレックスは17、充分子供さ。」

「んだとぉ!?」

「なら、その弟が何故北の刀を持っている?」

ピクリ

初めて、兄貴がルーク・フォームスの言葉に反応した

「だてに北は目指しちゃいないぜ。あんたの相棒だろ?妖刀"虚白(コハク)"。」

兄貴の眉間に皺が寄る

「妖刀は余計だ。」

「なら名刀か?」

「虚白は虚白だ。それ以外の何者でもない。」

……なんだ……こんな兄貴見たことない

それに、なんなんだこのピリピリした気迫は

「オレはあんたと殺りあう為にきたんじゃない、そう睨むな。ただ……」