まーくんは、何かを勘違いしてるみたい。


私が、逃げたって?


何で?



まーくんは私の冷たい体を強く抱きしめた。


濡れたまーくんの服が、冷たく耳に触れる。


さらに強く抱きしめる。


布ずれの音。



まーくんに包まれる。


外気が、全てまーくんになる。



まるで自分が浄化されていくような、


きれいな気持ちが、脳に宿った。



腕から、全身から伝わる、まーくんの強い思い。


きれいな思い。



私が逃げるわけない。


あの家を出て行くメリットは1つもない。


なのに何で、そう思うの?



それはまーくんも、恐れているからかもしれない。


私と同じように。


私が出て行くことを。



そんなに大事なのかな、話し相手って。