しばらくしていると、嫌な予感がした。


目を見開いて、その根拠となるものをじっと見る。


でもどうしようもないから、気づかないフリをして、


その狭い空間を出た。



出ると、リビングにまーくんがいた。


トイレは、寝室とはリビングを挟んだ反対側にある。


電気をつけていない部屋は薄暗くて、


トイレが明るかったせいか、まーくんの表情はいまいち見えない。



「ふぁ… おはよ、チカ」


目がだんだん慣れてきて、まーくんの寝起き顔が見えてくる。


「おはよ…」


そのほとんど目の開いていない顔は、


いつもの真面目なワーカーの雰囲気とは別人のよう。



まーくんの寝ぼすけ顔に笑いかけたとき、ぶるっと身震いがした。


「どした? 寒い?」


「ううん。 …別に」


暖房のよくきいた寝室と違って、リビングもまだ朝モード。


エアコンもまだ起きてない。



「何いらんとこで気張ってんの


寒いときは寒いって言う」


まーくんは座卓からリモコンを拾い上げて、暖房のスイッチを入れた。


「あ…ごめ」


世話を焼くまーくんはもういつものまーくんに戻ってて、


寝起き顔はすっかり消えてしまってる。