目が覚めると、薄暗い空気の中に背の低いテーブルが見えた。


紺色のカーテンの外から、車が通り過ぎた音がした。



一瞬ここがどこか分からなかったけど


あの長身短髪の…じゃなくて


小野正史、という人の部屋だと思い出した。



そしてなぜか、久々の休息を取って体が楽な自分がいる。


昨日は、結局彼とセックスはしなかった。


そして部屋の中から音はしない。


体を起こしてみたけど、どうやらあの彼は今ここにいないようだ。



いつもなら、起きたら出て行け、と催促されるのに。


そう言う人すらいない。



耳を澄ましていると、何か小さな音が聞こえる気がした。


振り返ると、暖房がついていた。



どれくらいか分からないほどの日数着ていた服は、


あったかいモッズコートを脱ぐと下は薄着だった。


それでも寒さで起きなかったのは、これのためか…。