ベルトコンベアーの上を荷物が流れてくるが、

それを横目に、私は通り過ぎた。

機内持ち込みが許可されるほどの、小さなリュック。

それだけを連れて、ターミナルを出た。




長い髪が、風に揺られる。

やっぱり風が吹くと寒いけれど、それよりも清々しさが勝っていた。





誰も知らない

知っている人に会うはずもない

遠い 遠い地。



これからの事とか

特に何も考えないままに、ここまで来てしまった。






前髪がぴょこぴょこと踊ってるけど、

これは喜びのダンスか、否か…




何なんだろう。




このままからっぽのまんまじゃ、

私はきっと、危ないだろう。



だけど今はまだ…


見ないふりをしていたい―――