「リュウ!!」

ジュンの動かすゆっくりリュウと距離をあけていく魔法陣に乗り、こうはその名を呼ぶ。


「おい!リュウ!!」


動きを止めたリュウは、名を呼ぶこうに反応できない。

ヒナは風の壁に対する守護の宝珠の詠唱を始めていた。
ジュンは魔法に集中し、壁へと真っ直ぐ向かっていく。




「………来るよな…あいつ。」

遠ざかるリュウを見ながら呟くこうを、ジュンもヒナも薄く笑みをこぼしながら見つめた。



……………………………



龍使いになりたいと思ったのは、父親の乗る龍が、単純にかっこよかったから。



その素質がリュウにはあったからなのか、森に住む龍族の中ではピカ1に動物の心をつかめた。


数々の動物と友達になることができた幼き日々。

今のリュウの力となる仲間は、ほとんどが幼き日に得た仲間だった。



………しかし、どうしても、龍の心だけはつかむことができなかった。



それは……


歪んだ争いが幼きリュウの心を凍てつかせたため………