「『魔質』が…闇。…あなた達と…同じ…?」

ジュンの動かない頭の中で何度もその言葉が舞う。

体も先程の跳ね返った自らの魔法で傷を負い、
すぐには立ち上がれない状況だった。


それ以上にジュンの心は動きを止め、時を止めるかのように思案が巡る。

「私が『闇』の…?そんな訳…!」


黒い気持ちを振り切るように立ち上がろうとした途端、
魔狩りの男は吹き飛んでいたジュンの帽子を踏みつける。


「!!!何す……!」

『魔力増強の魔飾りか?』

ジュンはすぐに動かない体を動かし、帽子を大事そうに引き寄せる。

「…そうよ!フィル姉が小さい私に少しでも強い魔法が唱えられるようにって……
何が可笑しいのよ!!」

ジュンの言葉の途中から男の笑い声が聞こえた。
ジュンは怒りを露わにして食いかかる。


『バカな。魔力が低い?おまえがか?
お前は昔から強力な魔法が使えたはずだ。闇のな。』


「………。」


『そんな子どもに魔力増強など必要ない。
それは闇の魔質を隠すための封印具だよ!』