暗闇。
沈黙。



広く、無機質なその空間の中央に
ひとりの男が立っている。

広い空間の闇はその男を包み、その
まぶたに一切の光も、音も届かせまいと
たれ込むようにして覆い尽くしていた。

「………どういうことなんです…」


呟きと共に切れ長の目は鋭い緋色の
光を放つ。
暗闇に光るその瞳はその主の怒り、
憎悪、そして刺すような殺意を示し
ていた



「あいつが……
あの男があの剣を手にする
なんてことは…許されません…!」

その男はサマルだった。

ボウ……

手を差し出し、稲光走る魔暗球を出現
させる。


「泳がせる時期ももう終わりました。
力ずくでも消えてもらいましょう…」


「ストレーン!」

次の瞬間、サマルは薄く笑いながら
後ろを振り向いた。

「………いましたか。」

「そや。大声ださんともすぐそこに
おったで。」


そこにいたのはひとりの勝ち気そう
な女の子だった。