『宵の夜に煌らかに座する、創生たる星よ。その光を地を照らし、海を揺らす、蒼空を架ける橋となれ!
星のラスティーナ!!』

ヒナの詠唱を受け、本から天へ真っ直ぐに強い光が伸びていく

雲を突き抜けたかと思うと弾けるように七色の光が飛び散る。
その光は山を覆っている雲を散らし、そこだけがぽっかりと穴が開いたように淡い紫色の夜の蒼空を覗かせていた



「星だ…!!」

その空には輝く一つの星座が山を照らしていた。
「あれが………」

右上の赤い星と、左下の青白い星………
どちらも強い光を放ち、もの言いたげに輝いている



「すごいね!本当にふたご座の真下なんだ〜」


ヒナの明るい声が耳の奥で聞こえる……
こうは握りしめていた聖龍剣をもう一度握りなおし、3人を振り返る。


「ここから先はオレが…」
3人もこうを見つめたその時
リュウの瞳が赤黒い閃光を捉えた


「!!!よけろ!!」


リュウが即座に叫び、近くにいたジュンの手を引き、地に伏せた

「マジかよ!!」

「え!?わわっ!」

こうも素早くヒナの背を押すと岩陰に転がるように身を伏せた

ドドン!!


凄まじい地響きが辺りを包んだかと思うと、甲高い笑い声が響いた

「あ〜ら残念!あと3秒だったかしら〜
キャハハハ!」

「誰だ!!」


そこには、金色の長い髪をなびかせ赤いロングドレスを纏い、黒いフリルの不思議な傘を持つ、妖艶な女が立っていた。


「誰って……闇の集団直属の魔導師、ユイ様よん!」