「どうしてだよ!」

また、立ち上がったこうを今度はリュウが腕をひき、座らせる。

「…………何かしってんのか?
オレ達はその『光龍の頂』に行きたいんだ。
聖龍剣を知るために。」

「………………」

大男はこうの顔をじって見ていた。
何も言わず、まっすぐに。


「……あそこは、『カストルの墓』みたいなもんだ。

お前さん達の世代じゃそう言ってもわからんか?」


「!!」


こうの顔色はその名を聞いて瞬時にして変わる

「カス…………トル」

その後の言葉が見つからなかった。


サマルが自分に対して放つ知らぬ名。
それは、サマル以外にも知り、恐れる者のいる名であった。
その事実が、こうの視線を凍らせていた。


「……書物で読んだわ。古代星王の確か………」


ジュンが記憶を辿るように呟く中、ヒナがあっ!と小さな声をあげる。


「カストル…知ってるよ!
星の名前でしょ?
確か………」

ヒナが場の空気を切るように言葉を挟む。
こうは凍ったままの視線をヒナに向け、後の言葉を待つ。



「双子座星の兄、カストル星!!」