「……………まじかよ…」


サマルの薄い笑いに頭の中の血が逆流するのを感じる。

〜こいつにだけは…負けねぇ!絶対に…〜


自分の中にある、熱い感情に剣を握る手が汗ばむ。


「無駄ですよ。今のあなたじゃ私にかすり傷、いや、風を吹かせることすらできません」

「やってみなきゃわかんねーだろ!!!」


こうは、感情のまま、無我夢中で剣を振り回した
剣の重みと、光のせいか、目はかすみ、腕は急な動きに悲鳴をあげる。


乱れ打ちに飛びかかる蒼の風と光はサマルの元へと四方から囲み狙う。

幾つもの光の刃はサマルの逃げ場をふさいぎ一斉に切り刻むかのように見えた。

「どうだっ!」

が、


サマルは魔暗球さえも使わず、その手のひらで宙に円を書くように動かした。


ピン…………………


「!……な………んで…」

たくさんの刃は空に浮く、円に触れたとたん、空気に溶けるように次々と消えてしまった。


ゼェゼェ……………

急にあがってきた息が呼吸を邪魔し、こうの膝を地につかせていた。

「ぐ…」

「あなたの攻撃はきかないんですよ…。」


空の上から冷たく言い放つサマルの言葉が、頭の奥に響いていた。