「…………おれは、そうさせないために、宝珠を集めるさ。」


消えゆくシェルーの背に呟くのはリュウだった。

「リュウ…?」


「…ヒナ。宝珠使いのおまえに頼みがある」

リュウはまっすぐにヒナに向き直り、言葉を続けた。
ヒナもリュウを見る。
あまり自ら語ることのないリュウの言葉をもらすことなく聞けるよう。


「いや……ヒナだけじゃないな。こうと、ジュンもだ。」


「何?」
「なんだよ」

2人も微笑みながらリュウを見た。見守るように。

「俺の…この龍をどうしても助けたい。

卵を孵すだけじゃダメなんだ。

この先、こいつが空を自由に飛べるためには…」

リュウはここで一呼吸おき、再度話し始めた。


「宝珠の守る今の世界だけではダメなんだ。

宝珠が必要なんだ。

今までの宝珠でなく、おまえが使う宝珠でこの世界を変えて欲しい。」



「こいつのために。」

腕には未だ冷え、危険に晒された卵が抱えられていた。