腰から手を離したとたん、彼女はうつむいた。

彼はまだ目を見開いたまま、俺たちを見ていた。

まるで、固まってしまったかのようである。

沈黙が痛い。

それから逃げるように、彼女を残して、俺は会議室を後にした。


あまりのタイミングの悪さに、笑いがこみあげてくる。

「――一体、いつからいたんだか…」

俺はそう呟いて、息を吐いた。

彼は、俺と彼女の秘め事を絶対に見ていただろうな。

でなきゃ、ああ言う状況はないだろう。

「けど、驚いてたな…」

ふうっと、俺は息を吐いた。