あるって方が間違ってるか。

そう思いながら、私は指定された席に腰を下ろした。

当の森藤勇は、私の席から左ななめに座っていた。

嫌でも視界に彼の姿が入る。

見ないように心がけて、話に集中しても、つい彼を見てしまう。

ダメじゃん、私。

行動が矛盾している自分に呆れてしまう。

そんな私に気づいてないのか、彼は書類に目を通しながら話を聞いているだけだった。

バカだな…。

何を期待しちゃってるんだろ、私。

視線を送ったら見てくれるなんて、バカもいいところだ。