…どうして何だろうな?

彼女にはかなわないうえに、勝つことができなかった。

「…わかったよ」

俺はそう返事をすると、ポケットから名刺入れを取り出した。

そこから1枚だけ名刺を取り出すと、それを彼女に渡した。

「…外交員?」

「それが俺だ」

彼女はジッと、名刺を見つめた。

「さっきの女の子は、俺が昨日の帰りに寄った店の子なんだ。

忘れ物をしたから、店に行って取りにきたんだ」

「…そうだったの?」

彼女の問いに、俺は首を縦に振ってうなずいた。