――…ヤダッ!

彼女は怯えた表情を俺に見せた。

そんな顔をさせたかった訳じゃなかった。

彼女を思っていただけ。

彼女を愛していただけ。

なのに、それは俺の悪あがきだった。

そんなものは、俺の無駄な行いに過ぎなかった。

あの日、俺の片思いは終わった。


――ガチャッ…

玄関から聞こえてきた音に、俺はハッと我に返った。

俺は寝室を飛び出すと、リビングに行って、その姿を探した。

…そこに彼女はいなかった。

ペタリと、俺はフローリングに膝をつけて座り込んだ。