「もし森藤さんが彩花ちゃんのことを忘れてなかったら、真希とつきあわないと思うんだ。

真希を愛さないと思うの。

あんまり上手に言えないけど、私はそう思うよ?」

「冴子…」

名前を呼んだのと同時に、冴子はニコッと私に微笑みかけてきた。

「後で、彩花ちゃんに謝りに行こう?

私も一緒に謝りに行くから」

「うん…」

私が首を縦に振ってうなずいたのと同時に、会議室のドアが勢いよく開いた。

「真希!」

息を切らした勇の姿がそこにあった。

私を探してくれたのだろうか?

「じゃ、先に戻るから」

冴子は椅子から立ちあがると、会議室を後にした。