両手を振り払うと、俺は彼女に背中を見せた。

「俺には真希しかいらない。

真希1人しか愛せない。

バラしたけりゃ、勝手にバラせばいい。

お前の好きなように扱えばいい」

バタッと、地面に座り込む音が聞こえた。

「とにかく、真希しかいらない。

真希しか愛すことができない」

真希に出会って、恋をしてから、俺はいろいろと救われた。

思っていた人を忘れることができたから。

むしろ、人を愛することをこんなにも幸せに思えたから。

「じゃあ、な」

最愛の人の元に向かって、俺は走り出した。

すぐに後ろから、大きな泣き声が聞こえた。