私の中で理性が消えて行く。

代わりに残るのは、本能だけだった。

彼に刺激されるまま、私の躰は感じた。

彼の吐息が触れただけでも、躰が震えてしまう。

あなたしか、考えられない。

あなたしか、見えない。

あなたしか、愛せない。

心の中で呟きながら、ただ彼を感じた。

「――真希…」

吐息のような声で、彼が耳元でささやいた。

「――森藤さ…」

「名前で呼んで」

名前――そう呼ぶとなると、恥ずかしくなった。