レモン味の飴をひとつ口に入れた。

甘酸っぱいのが口に広がる。


その味に、ふと思った。


「…ファーストキスの味ってレモンって本当ですか?」

そう聞くと、橘さんは目を見開いた。


「久しぶりに聞いたな、その話。…人それぞれだろ」

「橘さんは?」

「は?俺?…覚えてないよ」

「覚えてないぐらい、昔なんですね」

「失礼だな、ほんの少し前だよ」


「…私はまだです」

「そうか…焦ってするもんじゃないからな、本当に好きな人ができるまで大事にとっとけ」


微笑みながら言った橘さんに、キュンっと胸が締め付けられた。





本当に好きな人ー…



私が好きなのはー…