「橘さん、こんばんは!」


「…おぉ」


時刻は、21時を廻ったところ。
周りのお店は閉店している中、ここのお店だけが遅くまで営業している。





"CoCoa.+"
(ココア.プラス)

という、小さいレトロな喫茶店。

そして"橘さん"は、ここのマスター。


いつも、タバコを口にくわえてカウンターに座っている。


「いいんですか?のんびり座っていて」

絢芽も、隣に座る。


「いいんだよ。もう、お客なんて来ないから」


タバコを灰皿に押し付けながら言った。



いつも私が近くに来ると、タバコの火を消してくれる。




その心遣いが、すごく嬉しい。