旅人が魔法アイテムを金の代わりに持ち歩くのは、他にも理由がある。
いざ戦闘となった時に利用出来る為だ。
それに、相場が定まっていないせいで売買値が地域によって違う。
別の街で購入した魔法アイテムが、たまたま立ち寄った街では値が跳ね上がっていると言うこともしばしばあると聞く。
ある意味ギャンブルではあるが、元々暴落とは無縁の種類に値(あたい)する物なので、損もない。
旅人も考えたものだな、と話を聞いた当初感心した。
そして、ウルが悩むもう一つの要因。それは、まさにその魔法アイテムにあった。
確かに良いこと尽くしのアイテムに見えるが、余りに高価な物だと、逆に狙われやすくなる可能性もある。
いくら、街を離れ生活している盗賊と言え、稀少価値のあるアイテムの知識はある程度持っているだろう。
このオーブについても、ひょっとしたら価値に気づく者がいるかもしれない。
そうなると、逆に餌になる可能性も高くなる。
もちろん、そう簡単にやられるつもりは無いが、危険は出来るだけ避けるに越したことはない。
一つの高価なアイテムを持ち歩くよりは、いくつかに分散させた方が良い。
借りに、高価アイテムを持ち、盗賊と戦闘になって相手を追い返したとしても、その戦闘でアイテムを破損してしまったら盗られたと同じ事だ。
だが、その代わり、荷物は少なく動きやすい。
メリット・デメリットの見分けは重要である。
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