ドラゴン・テイル

「ふぅん」

 僅かな違和感が残る。
 元々から口数の少ないウルだ。どこが変とははっきり掴めないせいで、それ以上の言葉を思いつかないクレイグは、とりあえずの相槌を打ってウルの後ろ姿を見送った。

「……どうかしたの?」

 微妙な顔をするクレイグに、キスティンが訝しげな顔で声をかける。

「いや……、なんか変じゃなかった? あいつ」

 自分と違ってウル付き合いの短いキスティンには分からないだろうとは思いつつ、ウルの後ろ姿を見ながら疑問の言葉を投げかける。

「なんか、余りにも素っ気ないっつーか……」

「いつもじゃん」

 キスティンのあっさりした返答。

「まぁ、そうなんだが……」

 ウルの姿が見えなくなってから、ようやく視線をテントに移す。

 ─なんか、腑に落ちねーんだよな、さっきの表情。

「気になるなら聞けば良かったのに」

 呆れた声で言うキスティンに視線を移し、同じく呆れたようにクレイグが言葉を返した。

「聞ける雰囲気じゃなくね? さっさとどっかに行っちまったし」

 まぁ、そーだけど……。
「それも、いつもの事でしょ? らしくないな、クレイグ」

 苦笑しながら答えるキスティン。

 ……らしくないか。さっきのウル程じゃねぇよ。

 軽く溜息を付き、小さく肩を竦ませる。


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