「頂くよ。ありがとう」
そう言うと、ウルは少し笑顔を向けた。
途端にレナの顔にパッと赤みが増す。
「良かった! とても美味しいのに全部食べれなくて……困ってたんです。マーロウさんが来て下さって助かりました」
「………ウルで良い。レナ」
「え?」
何のことを言われたのか分からずキョトンとした表情のレナ。次の瞬間、かぁっと顔が赤くなった。
「え……あ……は、はははいっ!」
思わず声が裏返りそうになり、恥ずかしさの余りか俯く。
そんな様子を近くで見ていたアネットが豪快に笑った。
「あっはっはっはっは! 若いっていいねー! 私も後20歳若かったらウル君を誘惑したのにね!」
「も、もうっ! アネットさん! からかわないで下さいよ」
まだ赤い顔のまま、拗ねたような表情でレナがアネットに言う。
そんなやりとりを見ながら、ウルはこれからの事を考えていた。
昨夜のラーマの言葉。竜族同士の抗争。黒竜の出現。
─可能性はある…か……。
ウルの気持ちは決まっていた。
明日、町を出よう……。
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