ドラゴン・テイル

　ウルは、再び深く頭を下げた。

　みんながかけてくれる言葉が暖かくて、不覚にも涙が零れそうになる。

　頭を下げたまま、やっとの思いで絞り出した言葉は、謝罪ではなく。

「…………ありがとう……」

　自分でも驚くほど掠れていた声が届いたかどうか。だがそれは無用の心配だった。

　気にするな！　よくやったよ！

　声が、ウルの耳に届く。

　顔を上げると、笑顔でウルの声に答える人々の顔。

　レナが、ウルを火鉢のそばに誘導する。冷えた体を暖めなければ風邪をひいてしまう。

　ウルは、引かれるがままレナに付いていった。

　アネットが、怪我人の為に作った暖かいスープを持ってきてくれる。

「……ありがとう」

　もう一度、ウルはお礼の言葉を述べてスープが入ったカップを受け取った。

「ふふ、良いのよ。お口に合うか分からないけど、私の自信作なの」

　アネットがニコニコしながら答える。

「あ、そうだ！　マーロウさん、その様子じゃお食事はまだでしょう？」

　思い出したように言うと、レナは一つの紙袋を持ってきた。

　先ほど、キスティンが持ってきたレナの食事だ。

「私が時々お世話になってる寮の料理長さんが作って下さったらしいのですが、量が多くて…。
　もし良かったら召し上がりませんか？」




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