「え? あ、うん。まぁね」
全く予想だにしないクレイグの言葉に押されて、キスティンが答える。
「あれが精霊かぁ……。もっと…、何つーの? ゴツい系想像してた」
「ゴツいのも一応いるよ。精霊の中でも階級みたいなのがあってね。その階級の一番高いのが、精霊王って呼ばれるの」
少し自慢気に解説するキスティン。
「ふぅーん? ……あ、あれ………?」
クレイグは何気なく視線を巡らせ、一点に止まった時に素っ頓狂な声を上げた。
「?」
キスティンも、クレイグの視線を辿って目を向ける。
そこには、雨の中足早に歩いている一人の人影。
「あら、マーロウ君じゃない?」
「っぽいな……何やってんだ? あいつ……」
ウルは雨宿りをすることなく、激しく打ち付ける雨にその身を晒しながら歩き続けている。
行く末を見守っていたクレイグとキスティンに気付かず、ウルは少し離れたテントに入っていった。
「あれ、怪我人がいるテント……」
レナのいるテントだ。
何をしに行ったんだろう…?
どちらからとは無しに、キスティンとクレイグは目を見合わせた。
_

