「ならば、リムは生きているのか?!」

『断言は出来ぬ。……が、可能性はある』


 藁を掴むような曖昧な言葉。だが、ウルにはそれで十分だった。

「助けに行く」
 可能性が零になる前に。

 ─必ず、取り戻してやる。


『本気か? 我らドラゴンでも近づくことすら恐れる程の黒竜だぞ』

「もちろんだ、ラーマ。ずっと、後悔していた。あんたみたいなドラゴンと出会ったのも何かの縁なら、今助けに行かなくていつ行くんだ?」

 揺るがないウルの決意に、ラーマは軽く息を吐いた。

 人間とは、何故こうも単純なのだ……。

 だが……

『それが、良いところでもある……か』


「? 何か言ったか?」

 眉を寄せ問いかけるウルに、ラーマは素直に答えた。

『人間はまさに猪突猛進だ』


 その言葉に、ウルは少し目を見開いたが、すぐに笑い出した。

「確かにな!」


 こんな風に笑ったのはどれくらい振りだろうか。まさか、ドラゴンとの会話で笑うとは思わなかった。


 少し前までのウルには考えられない光景だった。


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