ドラゴン・テイル



『闇に属するものは、殆ど魔の属性でもある』

 白銀に輝くラーマは、少し辛そうに続けた。

『昔、竜族は世界を支配した』

 その話は、文献にも記されている。伝承歌(サーガ)としても広く歌われている。

『我々竜族は、世界を支配し、意のままに操ることを当たり前に思っていた……』

 子守歌のように静かに語るラーマの声は、顔を見なくても分かるほど深い後悔と悲しみに満ちていた。

『……ある時、人間やエルフ、その他にもドワーフやゴブリン達……、精霊達さえも一緒になって我々竜族に反乱した』

「……六千年戦争…」

 全て、ウルは文字の上だけで見てきた事だ。

 長寿で長い時代を生きるラーマ達竜族にとって、近いところではおそらく祖父母にあたる血族の時代の話だろう。

 全世界を巻き込んだ、竜族との戦争が集結するには六千年という気の遠くなるほどの歳月を要した……。文献にはそれを『六千年戦争』と記されている。

 今から四千年も前の話だ。

 結果、人間達の勝利で終わった………と。


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