どんな答えを望んでいるのか、自分でもわからない。無意識で口をついて出た言葉に、ウル自身が驚いた。
知っていて欲しい。リムレットの事、又聞きでも良い。風の噂程度でも良い。
だがその反面、知らないでいて欲しいとすら思う。リムレットのその後を、聞きたくない気もする。
もし、ウルの予想する最悪の言葉だったら………。
想像もしたくない。
でも、だからといって知らない振りも出来ない。出来るはずがない……。
ウルの心をかき乱す結論の出ない思いに、自然と顔が俯いていく。
ラーマは、一つ一つの言葉を噛みしめるように静かに言った。
『漆黒のドラゴンには、会った事は無い。
………だが……』
言葉が止まる。
重い頭を持ち上げ、ウルはラーマに視線を投げた。
─……続けてくれ……。
そう告げるような、すがるような視線を受け、ラーマはため息を吐くように続けた。
『話には、聞いたことがある。古代の竜……。今の我々竜族の祖先にあたる』
ウルは、少し目を見開くようにラーマを見た。
古代の竜、竜族の祖先。
竜族は、人間よりも遙かに長寿だと聞く。その竜族に「古代」や「祖先」の言葉を聞くとは思わなかった。一体何億年前の竜なんだ。
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