ロッククライムの要領で、器用に『目』に近づくクレイグ。
それを振り落とそうと影が身を揺らす。
「……っ! 落ちてたまるかよ……っ!
っつか、落ちたら……マジ死ぬ……!」
クレイグは、腕に渾身の力を込めながら進む。
ようやく、『目』に届くところまで来たクレイグは、バランスを取りながら金色の中央、瞳孔と思われる場所に、唯一自由に動かせる足で蹴り上げた。
ギュジュァァァアアァァァッ!!
激しく悶えながら、暴れ始める影。
「うぉっ! ちょっ、落ち……っ!!」
狂ったように頭を振り回す影に必死にしがみついていたクレイグだが、とうとう遠心力に負けて宙に高く放り出された。
「うぁぁぁぁぁっ!!」
初めての無重力に近い感覚の中、飛べる筈もないのに必死に手で宙を仰ぐ。
この高さやべぇっ! マジで死ぬ!!
クレイグが、死を覚悟した瞬間……─
ふいに何かにぶつかる感覚と共に体に重力がかかった。
勢いよく振り向くと、ウルの姿。
呆然として言葉が出ないクレイグに、ウルはニヤっと笑顔を作り、口を開いた。
「うまくいったろ?」
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