炎はクレイグのすぐ隣をすり抜け、影に向かい一直線に突き進む。
ッズォォォォォン……!
激しい爆音と共に、影が苦痛に耐えるかのように体を大きくそらす。
炎は、影のちょうど中心部に当たった。
高く上に反り上がってきた頭の所にはクレイグの姿。
「ナイス」
ウルは、口の片端を上げた。
「くっそーっ! こうなりゃヤケだ!」
クレイグは、すぐ近くまで迫った影を睨み据える。
黒いボコボコした皮膚が曲線を作り、その先には金色に光る目が見えた。
ギジュルルルァァァァァァッ!!
クレイグの姿をとらえた影が怒りの咆哮を上げる。
影の先端──口の部分が大きく開く。前歯にあたる部分には、鋭く太い牙が少し間隔を開けて対照的に二本生えている。
だが、その牙がクレイグの体を貫く直前、クレイグは影の鼻の部分に着地した。と言うより落ちた。
凹凸した部分に手をかけ、振り落とされまいとしがみつく。
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