「蛇に見えても、あの巨体だ。考えるだけの脳味噌くらいあんだろ。真上から攻撃を受けて上を見上げたら相当な高さになると思わねぇ?」
「思うけど…だから何なんだよ」
クレイグには、まだウルが何を言いたいのか分からない。
「あいつが上向いたら何が見える?」
「顔だよ! っつか、んなことどうだっていいだろうが! 早く何とかしないと…」
「いいから聞けって!」
焦るクレイグを言葉で押さえ、ウルは話を続けた。
「どんな化け物でもな、目ってのは一番薄い粘膜でしか覆われてねぇんだよ。どんなに堅い皮膚持ってる奴でも例外じゃない」
少し考えるように視線を町に落とすと、クレイグは口を開いた。
「……俺、すげぇ嫌な予感してきたんだけど気のせい?」
「気のせいだ」
即答したが、ウルの瞳は真剣そのもの。
「いやいやいやいや、ちょいまてウル!
俺今武器持ってねぇんだけど?!」
「言ったろ? 薄い粘膜だって。
素手で十分だ」
「じ、冗談だろ?!」
そう言うクレイグの声には、先ほどと違う焦りの色がこもる。
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