リムレット
「そもそも、何でカスタールは世界征服をしようとしたの?」

摩衣
「昔の人間は、カスタールを……って言うかドラゴンを悪魔視してたんだよね」

ウル
「怖い存在だったんだろ? 人間にとってのドラゴンが」

摩衣
「それもあるね。
 でも、ちょっと違うかな」

リムレット
「どう違うの?」

摩衣
「人間のエゴって言うのかな……、自分よりも強いものとか、自分を支配する存在が許せないって言うか……。自分が、世界の支配者じゃないと納得しないって言うか。
 そもそも、ドラゴンにとって世界支配はどうでも良かったんだよね。でも、あまりにも人間の自分たちに対する態度って言うのかな? それが頭に来たんじゃない?」

リムレット
「つまり、諸悪は人間?」

摩衣
「人間じゃなくて、人間の中にある強欲っていうか…。理性で制御出来ることでも時々押さえが利かなくなることあるでしょ?
 最近だって、カッとなって人殺したとかのニュース流れるじゃない」

ウル
「つまり、カスタールはそれを正すために人間に戦争を仕掛けたって言うわけか」

リムレット
「それってどうなの……? 確かに人間も悪いだろうけど……」

摩衣
「もちろんカスタールも悪かったんだよ。
 どんな理由があろうとも戦争を仕掛けるのは良くないからね。特にカスタールはドラゴンで、人間よりも圧倒的な強さを持つ上に、ほかのドラゴンも操ったからね」

ウル
「どっちもどっちってことか……。でも、そんなに力が強いなら、何も倒されるまで戦わなくても良くないか?」

摩衣
「戦争って言う戦いが、カスタールを含む全ての生き物の感覚を麻痺させたんだろうね。命が何よりも大切なものだって、普通なら言われなくても分かることなのにね」

リムレット
「……怖いわね………」

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