痛む足に薬草を張り、布で巻き付ける。
「折れてはいないわ。打撲ね」
手当てを終え、弓を握るとすぐに視線をカスタールに向けるセルフィリオーナ。
「レナ達は……?」
ウルの前に突き立つ剣を引き抜き、カスタールから視線を離さず睨みつけているクレイグに、ウルが問う。
「キスティンはまだ動けないからレナが傍についてる。ラーマは見つからなかった」
視線を動かさず答えるクレイグ。
カスタールは、高く凍りづけになっている黒竜の顔の前に浮いていた。
そこから、眼下にいるウル達を見下ろしている。
「うるッ!」
空洞の天井から、コパンの声。
見上げると、ウルが落ちた穴から顔を出している。
「おーいッ! うぇ、ここから落ちたの? よく生きてるな……」
コパンの横から、同じようにレインが顔を覗かせた。
「コパン! レイン! ラーマを探せ!」
ウルが言った瞬間。
カスタールが動いた。
右腕を、コパンとレインが覗く穴に向けて延ばす。
ウルを襲った衝撃波を出すつもりだ。
「避けろッ!!」
ズドゥンッ
ウルの叫びと同時に、二人がいた穴が砕ける。
「キィィッッ?!」
穴が抉れ、さらに大きく開いた所からコパンが落下した。
セルフィリオーナが弾かれたように走り、勢いを付けて対面の壁を踏み台にして飛び上がる。
「おぉっ! すげぇッ!」
落下を免れたレインの声が響いた。
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