その道は、行き止まりだった。
突き当たりの壁を調べてみるが、ただの石壁で特に変な所も見あたらない。
引き返し、分かれ道に戻る。
左の道の入り口にまた一つ灯りを落とし、奥へと進む。この道はすぐに分かれ道に当たった。
道が三つに分かれている。右の道に入り奥へ進むと、前方に小さな灯りがあった。
─…あそこか……?!
少し歩調を早め灯りの元へ向かうウル。
音が、耳をついた。
ピキキッ…ピシビシビジッッ
音に振り返るウルの足下が、音を立てて崩れ落ちる。
「ッ?!」
慌てて飛び退こうとするが、凍っていて思うように動けず、ウルは足下の地面と共に落ちていった。
「くっそッ!」
落下しながら、呪文を唱える。
「フラインッ!!」
ウルの体が重力から解放され、ふわっと浮かぶ。
ウルが歩いていた通路の下は、大きな空洞になっていた。
辺りを見渡すが、暗くて見えない。
「シャインフレア」
ボゥっと辺りの空間に無数の小さな火の灯りが灯る。
空間全体が明らかになり、ウルは思わず声をあげた。
そこにあったのは、氷の中に閉ざされた巨大な黒い竜の姿。
ラーマの倍はあるように見えるのは、氷が見せる錯覚なのだろうか。
─ここだ…、ここが魂の帰る場所…。
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