風が吹き抜ける。
どこかで、うなり声のような風の声。
少し進むと、所々に大きな岩が落ちている場所に出た。崖崩れをしたのだろうか、先が高い壁になっていて進めない。
壁沿いを歩く。ウルの住むザイルでも雪は降るが膝の辺りまで積もった雪は初めてで、歩くのにかなりの体力を使う。
尚も進むと、壁に横穴が開いているのを発見した。辺りを照らすと雪の上を誰かが歩いた跡がある。
大きさからして、コパンではない。もっと大きな何か。
─レインか……?
洞窟の中に、声を投げる。
「誰か居るか? 聞こえたら返事しろ」
声が反響し、ここがただの横穴ではなく奥に続く洞窟になっていることを告げる。
─…奥に行ったのか?
洞窟に入り、灯りをかざす。見たところ一本道のようだ。
慎重に歩を進めるウルの持っている灯りだけが、狭い通路の壁を照らす。
まだ、何の気配も感じない。この洞窟はどこまで続いているんだ……?
しばらく進み続けると、一つ目の分かれ道。ウルは腰の小袋からコインを一枚取り出し、ダガーにかけたのと同じ光の魔法をかけると後ろの地面に放り投げた。
迷わないように、道しるべだ。
まず、右の道に進む。
数分程、ゆっくりと進むと道が直角に右へ曲がっている。その曲がり角を曲がった直後、遠くから響いてくる小さな音。
─…やはり誰かいるのか?
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