目が覚めたら、木の上にいた。
吹き飛ばされ、レナの声が響いて……一瞬、何かに支えられたような感覚。
その後の強い衝撃に息が詰まり、そのまま意識を手放した。
─木がクッションになったのか…?
辺りを見渡す。
一体どれくらい気を失っていたのか、辺りはうっすらと暗くなっていた。
ハッと思いだし、抱えていたはずのコパンの姿を探す。
木の上にはいない。下に落ちたのか?!
足下の先にあるはずの大地は、木の影になっているせいか暗くて見えない。
「コパン! レイン! いるのか?!」
ウルの声に答えるものは無く。
はぐれたか……。
ウルは小さく呪文を唱えると、持っていたダガーに解き放った。
「ライティング」
小さなランタン程度の明かりがダガーの先に灯る。光るダガーを地面に投げ落とした。
木の枝を足場や支えにしながら、ゆっくり降りていくウル。
降り積もった雪がウルの足に絡み付く。ダガーを拾い、光を照らしながら辺りを見渡した。
灯りを灯しても、すぐに闇に飲まれてしまう。こう暗くてはうまく身動きが出来ないが、留まるわけにもいかない。
「とりあえず、だいぶ上がった所から落ちたからな……、頂上に向かうか」
幸いワイバーンは頂上付近まで上がっていたし、確かに高いがグランドリア山脈のように雲を突き抜ける程ではないようだ。
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