ホズの北にある国境を越え、最北の国バルダーグに入った頃。
「…えっと……質問良いっスか……?」
重苦しい沈黙を破ったのはレイン。一気に集まる視線に怯みながら、口を開いた。
「黒竜って何? 他の竜と何か違うの?」
ウルは、深くため息をついて首を振る。
「六千年戦争で、竜を操っていたボスだ。この北の大地のどこかで人間に殺されて、戦争が終結した」
答えるウルに首を傾けるレイン。
「殺されたなら、何でまだその…黒竜の思念? が残ってるわけ?」
ウルは少し考えて、思い出した。
─宝玉だ。あの中に黒竜の魂がある。
恐らく、黒竜の思念をこの地に停めているのも宝玉の中にある魂だろう。
ラーマに視線を向ける。ラーマも同じ事を思ったのか、視線をコパンに向けた。
コパンが、自分の部屋に隠したと言う黒竜の宝玉。
その宝玉を壊せば、魂は消滅してリムレットを操る思念は消えるのではないだろうか?
ウルの考えを悟ったのか、ラーマが言った。
『ならぬ。あれを壊しても、思念は消えない。むしろ黒竜の復活を手助けするだけだ』
「じゃあどうすれば良い?」
ラーマに向かって、ウルが問う。
「どうすれば、魂を消せる?! どうすれば、リムレットを救えるんだ?!」
ウルの声が響く。
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